万治くらぶ/第269号
万治くらぶ

第269号

2008/03/23

▲言語遊戯(6) 万治つづり方教室・放浪の旅日記
              食べモンと ボクと、時々、ユーワク


 花のパリーか 古都ローマ、夢 あこがれのヨーロッパ
 ボクは自由だ フリーダム、旅立つ前の 武者震い

 横浜港からナホトカへ、ハラショ− ピロシキ スパシーバ
 白樺 ツンドラ はてしなく、シベリア鉄道 どこまでも

 ソーニャ 可憐に微笑んで、淡い期待にときめいた
 母親 過重に苦しんで、露と消えゆく わが思い

 北欧めぐりに 胸躍る、ポルノ解禁スウェーデン
 雑誌が並ぶ ウィンドー、知らないうちに 手に取った

 大学校舎が 立ち並ぶ、ハイデルベルグは 城の街
 旅で学業 忘れても、熱いラビオリ 忘れない

 危機一髪のチェコ・プラハ、一夜明ければ 戦車隊
 ソ連侵攻 力づく、歴史のうねりに 呆然と

 ウィーンで出会った 女の子、部屋に誘われ 二人きり
 話しただけで さようなら、雨降る街に 一人ぼち

 スイスの彼女は 日本人、ハフハフ フォンデュ おいしいな
 手までつないだ 帰りの道 、勇気 出なくて おしかった

 先輩 たずねて ブザンソン、 お米に 鮭缶 お味噌汁
 異国の親切 身にしみて、ただただ 「おお!」と絶句した

 夜汽車よ あれが パリの灯だ、ここらで チョイと 腰すえて
 モンパルナスの 安宿で、語学に演劇 猛勉強

 五月革命 まだ冷めず、壁の落書き なまなましい
 ベジャール舞台に 感動し、リュクサンブールを 彷徨す

 Rに 誘われ ブリュッセル、未来が開けて クーラクラ
 夜中に誘われ 分かれ道、貞操 守って 道 閉ざす

 誘惑的な 飾り窓、来い来い指に 操られ
 わずか数分 役立たず、アムスの夜は 更けてゆく

 セビリア理髪で 男前、アホのスープは うまかった
 アルハンブラの 思い出は、夜を明かした 駅ベンチ

 海峡 渡って モロッコへ、黒衣の女と ミントティー
 熱で倒れた フェスの町、小指の歌に 助けられ

 再び出会った ミュンヘンで 、友は 女と愉しそう
 むかつく 気持ちを押し殺し、ビールの本場で ジョッキ持つ

 人の引継ぎ ルガーノで、 頼まれ 老爺と ふたりづれ
 喧嘩ばかりの その果てに、孤独の深さを 教えられ

 すべての道は ローマへと、つわもの共がコロッセオ
 思わず食べた スパゲッティ、涙がでるほど 旨かった

 オー・ソレ・ミオの カンツォーネ、ナポリの下町 にぎやかに
 笑顔で 出された 本場ピッツァ、異様な値段に おどろいた

 古代ギリシャは 旧市街、夕日に 輝く パルテノン
 アテネで 寝込んだ 三日間、ムサカ奢られ 目に涙

 あちこち巡った ヨーロッパ、イスタンブールでさようなら
 次に目指すは 中近東、紛争絶えない イスラエル

 国境越えは 飛行機で、着いたところが テルアビブ
 まったく静かで 拍子抜け、大きなピタは 安かった

 キブツで労働 体験し、キャベツの芯は 甘かった
 彼女がくれた 家ナンバー、家をまちがえ 不発弾

 テヘラン向かう 飛行機で、出会った ひとりの日本人
 ”十年やれば 一人前”、聞いた言葉が 忘られぬ

 冬でも 温い ニューデリー、木陰にたむろの インド人
 野菜カレーは 辛かった、脳天 しびれ 涙ぐむ

 金が 底つく タイの夜、女衒稼業に 精を出し
 バラック小屋に 大後悔、満たせぬ心に そば二杯

 ネオンきらめく 不夜香港、夜毎のノックは プロ女
 ノーサンキューで 悶々と、ストラディヴァリで 憂さ晴らし

 放浪終えて 八ヶ月、 羽田空港 なつかしや
 たったひとりの 出迎えに、旅の疲れも 何処へやら

 二十歳の旅は 武者修行、四つも 大学出た 成果
 人生探しも しっかりと、得がたい体験 大成功!!



 (一言)

 放浪の旅の追跡考を、曲がりなりにも終えることができたのでホッとしています。

 これもひとえに、愛読してくださる皆さんのおかげと感謝しています。

 旅の軌跡を振り返って、旅日記をつづり方教室で書いてみました。

 文章のリズムやテンポを楽しみながら、彼の孤軍奮闘が偲ばれれば、うれしい。

 「放浪の旅の追跡考」のつぎは、「ロズベイの物語」が書けないものかと思案中です。

 あてにしないで、待っててください。

 3月は年度替わり、新しい生活に入る人も多いかもしれません。

 無理せず、手を抜かず、マイペースで、楽しく迎えててください。



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