【社会の動き】流 行:失楽園、たまごっち、ガーデニング、日本版ビッグ・バン、もののけ姫、パパラッチ、マイブーム、郵政3事業。
京都のMKタクシーが、秋から600円営業を発表(1月)、藤沢周平が肝不全で死亡。69歳(1月)、「オレンジ共済組合」事件で友部議員の妻ら逮捕 (1月)、萬屋錦之介が肺炎で死亡。64歳(3月)、トヨタ自動車が「ハイブリッドシステム」の開発を発表(3月)、杉村春子がすい臓がんで死亡。91歳(4月)、諌早湾干拓事業で堤防開口部を閉切る(4月)、ペルーの日本大使公邸に特殊部隊が強行突入。71人の人質救出(4月)、神戸の中学校正門前で切断頭部を発見。口に酒鬼薔薇の挑戦状(5月)
米・火星探査機が火星に着陸(7月)、英でクローン羊誕生(7月)、松山市のホステス殺し容疑者・福田和子を時効20日前に逮捕(7月)、ダイアナ元皇太子妃が交通事故で死亡。36歳(8月)、ベネチア国際映画祭で、北野武監督の「HANA−BI」が金獅子賞獲得(9月)、東南アジアの経済不安でニューヨーク株式市場が大暴落(10月)、エジプトのルクソールで、武装集団が無差別発砲。日本人を含む観光客ら68人以上が死亡(11月)、伊丹十三が飛び降り自殺。64歳(12月)【生活 年譜】
小説の連載は前年からの「フルネルソン」と随時掲載の2本に加え、「満月男の優雅な遍歴」をはじめる。
エッセイでは『新潟日報』に新連載をはじめ、連載は計3本となる。単行本3冊と文庫本2冊を刊行。
『フルネルソン』が単行本化され、病後刊行の自著単行本が16冊となり病気前を追い抜いたことに気づく。快挙。体調もよく、ほぼ完全復活である。≪倒れて七年目だったか、ある日、(略)彼は目を輝かして、脳溢血後に書いた本が、それ以前を上回ったといった。(略)
数えてみると、たしかに一九九〇年以前に出した本が十四冊で、その後に出した本は十六冊にも達していた。(略)
無我夢中で過ぎた日々を思い、私もちょっと感傷的になった。そして十六冊のすべてに関われたことを誇りに思った。(略)
その夜、彼はノートにこう記した。
僕は精一杯逃げないで、仕事をやりぬくこと。これだけで一生を終わればいい≫作133『万治クン』p188≪「去年まで月に小説は1本しか書かなかったら貧乏になっちゃって」。今年は倍に増やしたが、体調も良く、それがなによりうれしい。もう2年で完全復活≫『小説現代』「今月登場」(1997年5月号)
1月 古澤憲吾監督の通夜に出かける。遺影を見ながら、心の中でお別れをする。
≪私は新聞でカントクの死を知った。
通夜の席でカントクの遺影を見ながら私は思った。
映画は出来なかったけれど、カントクは精一杯、本当に精一杯、やった。あの尊敬すべき途方もない大馬鹿者と知り合えたことを、心底、誇りに思っている。
どうか好きなだけお眠りくださいと月並みなセリフをカントクにいいたかった。合掌≫作39『…隣の…』p2112月 『新潟日報』にエッセイの連載をはじめる。7月まで続く。
≪3章 新潟日報 97・2/3〜7/28≫作39『…隣の…』巻末初出誌欄
5月 飯能の友人を訪ね、黄金の一日を過す。
≪(S夫妻の住む)飯能に遊びに行った。(略)
古い町並みには、酒屋、鰻屋、金物屋、桶屋など懐かしい商店が続く。(略)
お茶花を教えるという骨董屋の主人は、いかにも趣味人といった風情でおっとりと帳場に座っている。
(夜、Sさんの仲間たちと酒盛りをする。昔話に軽口、駄洒落に津軽三味線と愉しんだ。)何も不満のない一日であった≫作39『…隣の…』p2157月 再び飯能を訪ね、鰻屋の二階から祭り見物で夏の一夜を過す。
≪(鰻屋の二階に上がり、)やがて、ビールの栓を抜き宴会が始まった。通りから祭り囃子が聞こえてくる。(略)
簾をあげて祭見物と洒落込んだ。子供たちを先頭に祭り半纏の男や女が山車を引いて練り歩く。
テンテコテンと胸に響く太鼓の音。哀調を帯びた笛の音色。(略)
ああ中年の町、飯能の虜になりそうな夏の一夜だった≫作39『…隣の…』p2258月 暑さを避けて、例年通りの別荘暮らし。のんびり過すつもりが来客により結構忙しい。
≪最新刊の『フルネルソン』(講談社刊)を上梓した永倉さん、八月は暑い都会を離れて別荘暮らし。場所は長野県の嬬恋高原。
本人いわく「小さいけど、じいちゃん、ばあちゃんたちが入れ替わり来るから忙しいんだ」そうだ≫『週刊小説』「筆者の近況」(1997年8月22日号)8月 昨年放映のNHKBSの「父帰る」がアナログで再放送される。
≪試写室 「父帰る」(NHK=後10.20)闘病生活前向きな色合いで≫『讀賣新聞』(1997.8.13)
9月 体調も回復し、一合の酒をゆっくり味わうのが最高の愉しみ。
≪台風が去ったあとは秋雨前線が停滞し、めっきりと涼しくなった昨今。永倉さんいわく「日本酒がうまい季節になりました。
衣かつぎを肴に、去りゆく夏と深まりゆく秋を思い、一合徳利でしみじみやるのが最高」とか≫『週刊小説』「筆者の近況」(1997年10月17日号)10月 20日よりラジオで『フルネルソン』がドラマ化放送される。
≪[NHK−FM] 青春アドベンチャー試写室 1997.10/20〜10/31(10回)「フルネルソン」
・原作:永倉万治(講談社刊)、脚本:高谷信之
・スタッフ:技術=星野勇一、効果=石川恭男(略)
・出演:川名浩介、小倉一郎、森省二、飯塚雅弓ほか
・あらすじ:高校時代にレスリング部だったという父親が語る「青春グラフィティ」≫
ネット「[NHK-FM] Seishun Adventure(continued)」より11月 今年三度目の飯能行き。秋祭り見物をかねた宴会を張る。
≪小誌今号の短編を書き上げた永倉さんは、一一月頭の三連休に飯能に出かけた。
目的は飯能祭りの見物だが、楽しみは九三歳のおばあちゃんがやっているうなぎ屋で、仲間の中年男女が集まり、秋の一日、小宴を張った≫『週刊小説』「筆者の近況」(1997年11月28日号)?月 38年ぶりの小学校の同窓会に出席。思い出話が飛び交い愉しい晩をすごす。
≪志木小学校六年一組。(略)感慨にふけりながら私は会場になっている料理屋の二階に上がった。
襖の向こうに同級生の背中が見えた。(略)
ひとつテーブルを囲んで(略)すぐに小学生の悪戯ガキに戻っていた。(略)昔の仲良しはすぐに時空を超えて十二歳になっちゃうのだ≫作39『…隣の…』p188?月 長年ピッタリする靴がなく、やっと理想の靴に巡り会える。
≪僕の夢は、杖なしでお洒落な靴を履いて歩くことである。(略)
最近、偶然に”ドイツのマイスター仕込みの靴屋”というのを発見したのである。(略)
八年間探し続けた理想の靴に巡り会えるかもしれない。
ガッシリとしたドイツ製の靴だった。装具をつけたままでも、すんなり入る。(略)なんとピッタリではないか。(略)
かくして僕は、毎日ドイツ靴を履いて三十分、気が向けば四十分、五十分と散歩の距離を延ばしているのだ≫作34『大復活』p72?月 『日刊ゲンダイ』の連載「私のヰタ・セクスアリス」第1回に永倉万治に竹永茂生がインタビューをして執筆、掲載。
【作品 年譜】
1月 フライドチキンの夜(『小説新潮』)(→『どいつ…』)
1月 (新春お楽しみエッセイ)出稼ぎトウさん(『小説宝石』)(→未収録)
1月 「破局」7人の男と女の体験集(『Views』)(→未収録)
愛はかげろう、この空を飛べたら、風に吹かれて、淋しい熱帯魚、嵐の素顔、真夏の果実、優しい雨1・2月 交差点のバナナパフェ(『ザ・カード』)(→未収録)
3月 Kの誕生日とテレホンカード(『ザ・カード』)(→『…隣…』)
3月 黒 髪(『オール讀物』)(→『これで…』)
3月 西口に蛇屋があった頃(『いしすゑ』)(→未収録)
4月15日 解説(武長藻星『ラブ・ドラッグ』徳間文庫)
5月 (恋の一杯)オー・ド・ヴィ(『サントリークォータリー』54)(→『どいつ…』)
6月 三十歳(『小説non』)(→『どいつ…』)
7月 (思い出エッセイ)昭和三十一年・夏の江ノ島(『旅』)(→『…隣…』)
7月 (ただいま執筆中)個人的な思い(『青春と読書』)(→未収録)
7月25日 単行本『フルネルソン』(講談社)
7月25日 文庫本『晴れた空、そよぐ風』(集英社文庫)
8月 どいつも、こいつも(『小説新潮』)(→『どいつ…』)
8月 特別な一日(『オール讀物』)(→『これで…』)
8月01日 解説(びーと たけし『たけしの死ぬための生き方』新潮文庫)
8月08日 (リレー・エッセイ ひと、死に出あう)脳溢血の後、生への執着増す(『週刊朝日』)(→『死をめぐる50章』)
9月 凛々しくて、大いに依存する。(『ABIERTO』)(→未収録)
10月 (エッセイ夫婦)結婚生活の秘訣(『あけぼの』)(→未収録)
11月 杖なしで歩くには十年かかる(『婦人公論 臨時増刊号』)(→未収録)
11月 (今月のエッセイ)あなたもギックリ腰?(『青春と読書』)(→未収録)
11月10日 単行本『男はみんなギックリ腰』(集英社)
11月25日 文庫本『大青春。』(幻冬舎文庫)
12月 銀座四丁目(『銀座百点』)(→未収録)
12月12日 単行本『大復活』(講談社)(書き下ろし)
【連載 作品】
*「CUT COLUMNS」 『CUT』 (永倉万治 イラスト=北谷しげひさ)
1月 トホホな夜も、スッカラカンな夜も、そしてグルメに徹した今晩も、香港の夜景は燦然と僕にまたたいてくれた。(→『…隣…』)
3月 追悼、古沢憲吾。見果てぬ夢を追いかけて孤軍奮闘した「ニッポンのカントク」。(→『…隣…』)
5月 車の良いこと悪いこと。そして車嫌いの僕が行き着いた「ドライブ健康法」。(→『…隣…』)
7月 隅に置けない町、飯能で過した「黄金の一日」。(→『…隣…』)
9月 緑なす桃源郷にある窯場、茫洋として立つ気功師、鰻を焼く90歳のお婆さん―ああ中年の町、飯能に乾杯!(→『…隣…』)
11月 会いたければ、いつでも会える。30年ぶりの再会に関するお話。(→『…隣…』)*「男と女のいる風景」 『週刊小説』 (永倉万治 え・百田まどか)
1月 3日 海の見える部屋 (→『ポチャ…』)
8月22日 インドへ行きたい(→『ポチャ…』)
10月17日 ガールフレンズ (→『ポチャ…』)
11月28日 ベストフレンズ (→『ポチャ…』)
(このシリーズは不定期連載の短篇集である。全15作。)*「隣にいるヒト」 『NAVI』 (永倉万治 イラスト=ひらいたかこ)
1月 目白のティールーム(→『…隣…』)
2月 白髪頭の男 (→『…隣…』)
3月 落書き (→『…隣…』)
4月 フライパン (→『…隣…』)
5月 汚れたボルボ(→『…隣…』)
6月 春の公園 (→『…隣…』)
7月 競 歩 (→『…隣…』)
8月 料理がキライ(→『…隣…』)
9月 麻布十番 (→『…隣…』)
10月 豪快な女 (→『…隣…』)
11月 霧 (→『…隣…』)
12月 月見の宴 (→『…隣…』)*「フルネルソン」 『小説現代』 (永倉万治 画・真鍋太郎)
1月 連載第六回(→『フル…』)
2月 連載第七回(→『フル…』)
3月 連載第八回(→『フル…』)
4月 連載第九回(→『フル…』)
5月 連載最終回(→『フル…』)*「男はみんなギックリ腰」 『小説すばる』 (永倉万治 illustration・笹尾俊一)
2月 第六話 親分は秘密がいっぱい(→『…ギ腰』)
6月 第七話 腰痛野郎の大作戦(→『…ギ腰』)*「 ? 」 『新潟日報』 (永倉万治 画・?)
2月03日 ? (→『…隣…』「おやつはタケノコ」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「わたしの空豆なのに…」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「禁断症状の結末」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「リバウンド症候群」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「口説きの練習試合」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「無口な女性の肌理ゼリフ」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「いま思い出すとこだから…」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「ひとり暮らしの達人」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「整理整頓はああやってこうやって」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「花粉症の顔はあれに似ている」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「白髪のおじさんとの交流」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「メカにうろたえる中年」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「他人の話をさりげなく聞く趣味」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「カレシとオヤジ」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「深夜のタクシドーライバー」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「ビアホールのケンカはやらせ?」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「旧友とは」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「蚊帳」)(未見)
・ ? (→『…隣…』「眉唾もの」)(未見)
7月28日 ? (→『…隣…』「クロールみたいな泳ぎ方」)(未見)
(『あなたの隣の大切な人』の巻末にある「初出誌 3章 『新潟日報』'97年2月3日〜7月28日」の記事により26週のうち20篇の連載がわかる。休載の有無は不明。とりあえず単行本収録順に作品名のみを記載。未見のため詳細は不明)*「満月男の優雅な遍歴」 『宝石』 (永倉万治 斎木磯司・画)
4月 第一夜 クロールの女 (→『満月…』)
5月 第二夜 ふくよかな声樂家(→『満月…』)
6月 第三夜 パレオの女 (→『満月…』)
7月 第四夜 ニューヨークの女(→『満月…』)
8月 第五夜 喪服の女 (→『満月…』)
9月 第六夜 蟻地獄の女 (→『満月…』)
10月 第七夜 疲れ切った女 (→『満月…』)
11月 第八夜 複雑な女 (→『満月…』)【参考 作品】
1月03日 筆者の近況(『週刊小説』)
5月 今月登場(『小説現代』)
7月 (概観 文学)エンターテインメント'96 清原康正(『文芸年鑑』1997年版)
7月? 「1997?年のノート」長倉恭一のノート(作133『万治クン』p189掲載)
8月08日 脳溢血後、生への執着増す(『週刊朝日』)
8月22日 筆者の近況(『週刊小説』)
8月26日? (書評)フルネルソン 文・?(『日刊ゲンダイ』)
9月 (アンケート)私の好きなヨーロッパの酒場(『サントリークォータリー』55)
10月17日 筆者の近況(『週刊小説』)
11月 (激しく生きてあり)永倉万治・作家(グラビア)(『婦人公論 臨時増刊号』)
11月28日 筆者の近況(『週刊小説』)
12月12日 (無題 扉ページの写真)(『大復活。』)
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