永倉万治亡き後も、彼の作品は出版されている。彼に関わる参考作品も出版されている。
彼をめぐるできごともいくつかある。
以下、それらを記載していく。
【生活 年譜】1月 12日、有子夫人がNHKテレビに出演。夫を語る。
≪NHKテレビ 8:35 生活ほっとモーニング 「夫の「想い」を書き継いで〜永倉萬治・有子夫妻〜」
有子さんが書き継ぐのは、地方紙に連載していた「ぼろぼろ三銃士」というリストラされた中年たちの復活の物語です。この物語を通じて、有子さんは、いま、自らのこれからの人生を、改めて考えています。二人の生き方を通じて、夫婦の絆、そして生きることの意味を考えていきます≫ネット「NHKアーカイブス保存番組検索」の番組内容から作成3月 昨年の12月に完成していた志木の新居に引っ越しをする。
≪まずは、引っ越しである。志木の新居は予定どおり(昨年の)十二月のうちに完成しており、いつでも移り住める状態にある。
そうしないのは、永倉が引っ越しの日を三月六日と決めていたからで、家の間取りからキッチンの色、ベッドの置き場所まで風水や占いで決めていた彼の、いわばこれは最後のお願いみたいなものなのだ≫作133『万治クン』p2675月 父・万治との約束どおり、長男の夏也が東欧へ一人旅に出発。
≪五月の連休明け、夏也が家を出ていった。
「お父さんに背中を押されたような気がする」といって、いよいよ東欧への旅に出発したのだ。
バックパックを背負って駅前の信号を渡っていく夏也を見送りながら、私は「万治クン、守ってよ」と心の中で手を合わせた≫作133『万治クン』p2725月 26日、有子夫人が和光市図書館の依頼で永倉万治について講演をする。
≪市民図書館講座 「夫 永倉萬治を語る」
昨年惜しくも亡くなられた作家永倉萬治氏。妻である有子さんは作家として、萬治氏の遺された小説を書き継がれています。
永倉萬治氏の作品について、またご自身の執筆活動について語っていただきます。どうぞご参加ください
■とき/5月26日(土)14時〜15時30分
■講師/作家 永倉有子氏(故永倉萬治氏の妻)
■ところ/和光市図書館会議室≫『広報わこう』13.5.18月 有子夫人が絶筆の「ぼろぼろ三銃士」を書き継ぎ、完成させる。
≪息子は旅立った。私も何がなんでも『ぼろぼろ三銃士』を完成させなくては!(略)
一行も書けずにワープロの画面をむなしく見つめる日々が続くうちに、初めの意気込みはどこへやら、しだいに焦りと絶望が頭をもたげてくる。(略)
まわりの人びとの温かい励ましと、偶然とは思えない数々の出来事(略)(に出会うたびに)「ああ、守られている」と強く感じながら、ワープロを打ち続けたのだった。
忘れもしない、八月十九日の午前五時二十五分。『ぼろぼろ三銃士』は完成した≫作133『万治クン』p27210月 永倉万治、最後の短編集『これで、おしまい』の発行。
≪(編集者の)彼女は私の前に一冊の本を差し出した。
「これで、おしまい」とどこかとぼけた書体でかかれた表紙。本の帯には”亡くなって一年 永倉萬治、最後の短編集”とある。
そう、これは彼があれほど本にしたいと願っていた短編集なのだ。(略)
その本がとうとうでき上がってきた。しかも発行日は十月五日。彼の命日だ≫作133『万治クン』p20210月 有子夫人が、永倉の果たせなかったオランダに行き、ハンスに会う。
≪十月の終わり、私は次男の龍男とともにオランダのスキポール空港に降り立った。(略)
(夏也とも現地で落ち合い、ハンスに会いに行く。)
「ユウコ!」 「ハンス?ハンスなの」
よく来た、やっと会えたねといって、ハンスはぼろぼろ涙を流す。(略)
一週間の滞在中、私は息子たちとアムステルダムの町中をただ歩き回ってすごした≫作133『万治クン』p27512月 25日、永倉万治・有子共著の『ぼろぼろ三銃士』の発行。
≪(永倉萬治氏は)本作品を地方新聞に連載中の'00年10月5日、急逝。萬治氏の最初の作品から手を入れてきた有子夫人が、絶筆となった本作品を書き継ぎ、完成させた。
ぼろぼろ三銃士 著者/永倉萬治・有子
初版第1刷/2001年12月25日
発行所/株式会社実業之日本社≫作119『ぼろぼろ三銃士』奥付【作品 年譜】
3月10日 寄稿本『立花隆のすべて(下)』(文春文庫)
5月15日 共著本『短篇ベストコレクション 現代の小説2001』(徳間文庫)
10月05日 単行本『これで おしまい』(集英社)
10月10日 文庫本『武蔵野S町物語』(ちくま文庫)
12月25日 共著本『ぼろぼろ三銃士』(実業之日本社)
【参考 作品】
1月 (追悼)故永倉萬治氏の思い出 文:東郷隆(『別冊 文藝春秋』冬号)
2月 夫・永倉萬治を語る 談:永倉有子(『清流』)
2月27日 夫・萬治が遺した小説 書き継いでリベンジ 文:四(『朝日新聞』夕刊)
3月01日 妻・有子さんの最初で最後の「愛してるからね!」 文:無署名(『女性セブン』)
4月 天国のあなた、少しだけわたしに力をください。 文:永倉有子(『ゆうゆう』臨時増刊号)
6月 夫の新聞小説を書き継ぐ 永倉有子さん 文:板倉久子(『ミマン』)
6月 つらいこともふたりなら楽しかった。だから、続きを書いてみます 永倉有子さん 文:無署名(『メイプル』)
6月20日 永倉有子 天国の夫へのラブレター 文:細貝さやか(『コスモポリタン』)
7月 (訃報)資料 日誌・訃報 永倉萬治(十月五日)(『文藝年鑑』平成十三年版)
10月 あの夏の風景 ―夫・永倉萬治と過ごした日々 文:永倉有子(『青春と読書』)
11月 (追悼)亡くなって一年、永倉萬治氏最後の短編集を読む 文:TETSUYA(『小説すばる』)
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