マドラで永倉万治と一緒に『ウインド』を編集していた田村さんから頂いたメールに、永倉が対談出演の依頼をして、登場していただいた著名人の名前がある。《『wind』には対談ページがあり、名だたる作家や音楽家などに登場していただきました。
開高健、団伊玖磨、田村隆一、篠田正浩、東由多加さんもいらっしゃいました…、
そういう方々にお目にかかって、私は初めてオーラというものを実感しました。》出演者には、各界の名士、そうそうたる名前が並んでいる。
無名の永倉に、それほど多く知り合いが、いたのだろうか
永倉が演劇関係で、寺山修司や東由多加、竹永茂生と顔見知りは分かるが他の人たちとの繋がりは分からない。
とりあえず、松田さんから頂いた『ウインド』から対談を書き出してみる。
1-0号 南 博×田原総一朗 対談 見て来たアメリカ・アメリカ人
1-1号 田村隆一×開高 健 対談 旅を”旅する”
1-1号 佐貫亦男×泉 真也 対談 旅空間”ヒコーキのなか”
1-2号 飯沢匡×岡部冬彦×真鍋博 鼎談 ホビーの世界・世界のホビー
1-2号 谷口正彦×森村 桂 対談 ホビーとしごとの間
1-3号 東由多加×沢木耕太郎 対談 ”レジャーの世界”を漂流する
2-1号 松永伍一×篠田正浩 対談 ”田舎”の時代
2-2号 勅使河原宏×寺山修司 対談 未知のドラマ・東と西
2-3号 増田義郎×伊高浩昭 対談 わたしたちのメキシコノートから
2-4号 吉田喜重×野際陽子 対談 ヨーロッパ”美の美”の世界
3-1号 斉藤輝子×森重杏子×森村淺香 鼎談 ただいま”特別”青春旅行中
3-2号 斉藤茂太×安井かずみ 対談 世界のいいホテル・好きなホテル
3-3号 落合恵子×高坂知英 対談 ひとり旅の愉しみ
3-4号 團伊玖磨×森本哲郎 対談 飽くなき探究・尽きせぬ愉しみ
4-1号 JALのツアー・コンダクター5人 座談会 いろんなツアー・いろんな旅行者
8:田村隆一、9:開高 健、10:篠田正浩、
11:松永伍一、12:森本哲郎、13:團伊玖磨。対談に出て頂いた顔ぶれをみると、感心するほど多彩な方々である。
これでは、永倉の知り合いだけでは無理である。
田村さんは言う。《長倉さんは、人懐っこいというか、相手を警戒させず、
ひょいと相手の心に入ってしまう術を持っていましたから、人脈が広かったですね。》なるほど、永倉の知り合いというより、彼の人柄というか当たりの良さであろうか。
対談に出演をお願いしたり、対談当日に初めてお会いしても、相手に緊張させず気持ちを和やかにして、
愉しんでもらえるように対応するのが彼の持ち味だったのであろう。まったく、田村さんのおしゃるとおりである。
すると、永倉は対談の製作や編集に係わっていたことは間違いないが、永倉作品という訳にはいかない。
マドラ時代に、永倉はこれだけの対談や鼎談に携わっていたことが『ウインド』誌から分かった。
これは、素晴らしい新発見でうれしいことである。
写真8・9:対談の田村隆一×開高 健(『ウインド』1-1号より)写真10・11:対談の篠田正浩×松永伍一(『ウインド』2-1号より)
写真12・13:対談の森本哲郎×團伊玖磨(『ウインド』3-4号より)
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